音楽によって物語が生まれる瞬間に立ち会うことがあります。
音の波動が、五感を覚醒させ、経験や記憶や直観などが刺激し合って、言葉が選ばれ文章が紡がれたりします。
反対に、このアルバム「麻布ハレー」は、小説に共鳴していただいた、3人のミューズによって生まれました。
神話風に言えば、「はじめに言葉があった。言葉は音と共にあった。言葉は音であった」となるのでしょうが、言葉では伝えきれない彩やオーラを感じ取れることでしょう。
音のない小説の宇宙にメロディや歌を響かせてくれた、この奇跡に感謝します。
田中渉
麻布ハレー
松久淳+田中渉 著
誠文堂新光社 刊
224頁
定価:本体1300円+税
1910年、ハレー彗星が飛来したその年、麻布天文台で、國善と晴海は出逢う。
1910年、1986年、そして2061年。國善と晴海の想いが、ハレーの76年をかけた旅とともに、時代を超えてつながってゆく。